■□■ 関連ワード集 ■□■
『富士の破れる日』には、様々な富士に関連した用語が出てきます。
観劇の助けになりますように、いくつかご紹介したいと思います。
■強力(ごうりき)
剛力とも書く。霊山での登山者の従者、荷を負って登山客の山案内をする人の意。
宿坊は客から強力斡旋料を貰い、宿坊から強力に金が払われる。
■宿坊(しゅくぼう)
元来、僧侶のみが宿泊する施設であったのだが、平安時代の自社参拝の普及により、貴族や武士、さらには一般の参拝客も宿泊できるようになった。運営者も僧侶から寺院集権の半僧半俗の経営者に移っていった。
子江戸時代には、お家参りなどが大衆化し、各地の寺社に宿坊が整備され、特定の地域と宿坊が結び付くなどして、一種の観光事業を形成した。
■石室(いしむろ)
登山の際の休憩所。強力と石室小屋は持ちつ持たれつ。登山客に買わせた利益の何割かが、案内した強力に流れるしくみ。物価は高い。
■御神水(ごしんすい)
不思議な霊験をもつという水。神前に供える水。神に誓う時に飲む。神域に湧き出ている水。神聖な水。
■富士講(ふじこう)
住まう神への信仰を行うため広義の富士講社講。特に江戸を中心とした関東で流行した、角行を系譜をくむもの。講社に留まらず、その宗教体系・宗教運動全般を指すことも多い。狭義の富士講。
■胎内(たいない)
937(承平7)年の富士の噴火の際に流出したとされる溶岩流の東端に形成された吉田胎内。いくつもの樹木が重なり合って複雑な樹型を作り、それの形ゆえに女性の胎内に例えられ、胎内信仰に繋がっていった。吉田胎内は富士山を訪れた修行者たちから祈りの対象となり、富士講の講者や御師たちによって守られてきた。
■禅定(ぜんじょう)
瞑想により、真理を観察すること。富士講では登山そのものを指す。
■小祠(しょうし)
文字通り、小さい祠(ほこら)。。